「ことばの力のものさし」研修会に参加

 2026年6月13日、豊田市内で「ことばの力のものさし」研修会が開かれ、東京外国語大の小島祥美教授の、多文化多言語の子どもの学びについてのお話をお聞きしました。その内容を「はじめの一歩教室」でも共有したいと思い、報告します(研修会は「特定非営利活動法人トルシーダ」主催)。

 文部科学省は2025年4月、「文化的言語的に多様な背景を持つ外国人児童生徒等のためのことばの発達と習得のものさし」、通称「ことばの力のものさし」を公表しました。

 小島先生によると、「ことばの力のものさし」は、多文化多言語の子どものことばの力を多角的かつ包括的に捉えるための評価の枠組として開発されました。個に応じた支援の方向性の可視化によって、個別最適な学びに結びつけることを目的としています。

 文科省の目指すところは「指導と評価の一体化」。発達段階の子どもたちにとって評価は極めて重要です。しかし、学校現場では日本語能力の不足によって評価できない、または、低く評価されないための配慮があります。この点について小島先生は「平等」と「公正」の違いがサッカー観戦のイラスト(同じ高さの台に乗る身長差のある3人と、違った高さの台に乗り目線が同じ3人)を用いて説明し、「公正」とは一人ひとりの違いを知り、必要に応じた支援によって全ての子どもに等しい学びの成果をもたらすことだと話しました。

 「ことばの力のものさし」は、単純な日本語力を測るものではありません。子どもたちの頭の動きについて、「思考・判断・表現を支える包括的なことばの力の発達ステージ」と、日本語の力「日本語固有の知識・技能の習得ステップ」の2つの段階を、記述文から評価します。横軸を示すステージはAからFの6段階、縦軸を示すステップは1から8の8段階。平面座標に子どもの「現在の力」と「支援すべき方向性」を可視化します。小島先生は「たて」に伸ばす、「ななめ」に伸ばす、「たて、たて!」「ななめ、ななめ!」と力強く連呼しました。

 講座の後半では、子どもの基本情報や対話型アセスメントDLAを撮影した動画などを見て、ステージやステップの判定をグループで話し合いました。実際に、「見取り」は、授業中のやり取りや休み時間の過ごし方、友だちとの関わり、支援教室での様子など、多様な場面を通じて行われます。何人かで話し合うことで自分と違った見方が出てきたり、意見が一致したりといった、「子どもが持っているすべてのことばの力」が見えてくることが実体験できました。ステージとステップで「現在」の力を見取ったあとで、年齢に応じた「目標」への方向性を視覚的に確認できます。

 例えば、来日後4カ月のブラジルルーツの中学2年生の例では、ステージはE、ステップは「聞く・話す」は2、「読む・書く」は3と見取りました。つまり、日本語の力はまだまだですが、母語を通じて年齢相当の高度な概念理解や思考力があるという判断です。ここから、縦方向に伸ばすことが目標です。では、どんな支援が必要なのか。グループでの話し合いでは、「認知レベルにあった内容が大切」「好きなことを題材にした多読活動」「多読では問いかけが重要」などなど様々な意見が交わされました。

 この講座は全3回で行われ、次回(7月26日開催予定)では、見取りから支援の実践をさらに深めるということです。小島先生の言葉「私たちがやるのは基礎教育!日本語は教えない!ドリル練習は意味がない!」が強く印象に残りました。次回も参加して報告する予定です。

     (「はじめの一歩草の根教室」「DONDONにほんご教室」支援者/上村桂恵子)

自主夜間中学はじめの一歩教室

日本に住む外国の人たちへ日本語支援と教育支援

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