2026年6月6日、札幌市内で「北海道に夜間中学を作る会総会」が開かれ、笹山悦子代表が招かれ記念講演で登壇しました。名古屋からはほかに事務局員の加藤奈那子さんらが現地入りし、視察とともに遠友塾や道内の支援者同志と交流を深めました。以下は、加藤さんのレポートです。
■「学問より実行」
「遠友夜学校」の創立者である新渡戸稲造が残した「学問より実行」という言葉について、「学問→実行」とも「学問<実行」とも捉えられるがどっちだと思うか、と工藤慶一さんが質問されました。工藤さん自身は答えは後者ではないかとのことで、学問と実行の関係性は双方向であり、実行することがとても大事であるとお話いただきました。
例えば、北海道の公立夜中である星友館中学の学校運営計画には「変わることをおそれない」があるそうです。生徒や教員らの「こんなことをやってみたい」という声をとりあえずやってみるという精神は、まさに「学問より実行」を体現していると感じました。
また、笹山代表は日ごろ、公立夜中への随時入学の必要性を訴えていますが、これも「学問より実行」ということかもしれないと感じました。随時入学の正当性・必要性・ルールなどを検討している間にも当事者は困り続けてしまうのですから、立ち止まって考える前に学習者が入学したいと申し出たタイミングでとりあえず入学してもらえば案外、うまくいくかもれしない、と思います。
■支援者にとっても開かれた場所
今回の札幌訪問全体を通して感じたことでもあり、一歩教室でも同じだなと思えたことです。一歩教室に関わるようになって間がなく、夜中に関する肩書き(教員とか研究者とか)が明確にあるわけではない私に対しても、ひとりの人間として尊重してくださっていると感じられる場面がたくさんありました。
夜中に関わる中で、私も生徒さんも支援者さんも「自分は自分でいい」と感じる気持ちを育むことができていると感じ、これからもずっと大切にしたい居場所です。
星友館中学では、次のようなエピソードが印象に残っています。中学校の事務員さんに年金に詳しいエキスパートがおられ、生徒の年金の受給額が少ないのでは、との気づきとから対応につながったことがあったそうです。
本来すべての教育現場でそうであってほしいとは思いますが、特に夜中は生きる力を身につけるところでもあると思うので、やはり教員だけではなく、様々な人が関われる環境をつくれるといいなと思いました。
一歩教室でも教員ルーツでないことを引け目に感じておられる支援者さんもいらっしゃるように感じます。しかし支援者側に様々なバックグラウンドをお持ちの方がいらっしゃることに価値があるのだと改めて感じるエピソードでした。
■さいごに
先行事例のある北海道、レジェンドの工藤さんがおられる北海道、というイメージで訪れましたが、遠友塾の支援者さんと話す中で、みなさんそれぞれが今も様々な課題に直面しながら悩んでいらっしゃることが伝わってきました。北海道にも外国ルーツの方が増えつつあるようで、今度は愛知がロールモデルになっていくかもしれないという状況であることも知りました。
一歩教室では必ずしも一方通行の「教える―教えられる」の関係ではないように、北海道と愛知も互いに学び合える関係であり続けられたら嬉しいなと思います。
(写真は星友館中学校=同校HPから)
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