韓国からお客様がお見えになりました。

 2025年8月20日。「はじめの一歩教室」は、韓国からお客様をお迎えし、代表の笹山悦子さんと支援者二人がインタビューを受けました。

 訪問したのは、韓国・全南大学校 人文学研究所 HK研究教授の李芝英さんと、慶尚南道女性・家族財団 政策研究部リサーチ・フェロー、李慧林さん。

 全南大学のある光州や慶尚南道は、外国人労働者やその子どもたちが増加し、教育や地域社会の課題になっているそうです。この地域は工業団地や造船・機械産業に従事する外国人労働者が多く、中国、ベトナム、タイ、ウズベキスタンなどからの出身者の子が学校に通学しており、愛知県と似たような状況があるようです。つまり韓国語や日本語を母語としない児童・生徒が授業内容の理解に困難さを感じ、保護者も学校や行政とのやりとりが難しい。こうした状況の下で外国ルーツの住民が地域社会の一員として共生するための活動が行われています。お二人はこうした分野での日韓比較研究をしていらっしゃるようでした。

 李芝英さんは、「一歩教室」のような市民団体によるボランティア活動は、韓国では日本に比べて少ないと話し、活動に従事した時間は、行政安全部という官庁の運営するシステムによって管理されるそうです。そしてボランティア活動を行うとポイントとして記録され、このポイントには地域通貨のような換金性があるのだといいます。資料によると、このポイントは奨学金、学校の内申加点、就職活動での証明、公共機関の評価などに活用され得るということです。若者を活動に引き付ける一因になっているのでしょうか。

 こうした事情から、韓国の「ボランティア活動」はポイント制に支えられている側面があり、日本のボランティア活動とはやや事情が異なっているようです。李芝英さんからは、一歩教室の財政についての質問がありました。笹山代表は、支援者から会費徴収のほか、各種の補助金の申請、活動が軌道に乗って以降は企業の寄付なども集まるようになったと説明しました。

 また直面している課題は何かという質問に対し、増加する学習者の数に支援者の数が追い付かず特に若者の支援者が慢性的に不足している点などが説明されました。

 さらに公立の夜間中学との連携が今後、さらに求められると話すと、李さんは日本にあるような夜間の学校は韓国にはないと説明しました。韓国語教育、学習支援、生活支援、親への支援などを行う地方自治体や民間団体、NPOなど運営する「多文化家族支援センター」があるのだそうです。両国の違いについて理解が深まりました。

 一歩教室の見学・視察者は少なくありませんが、外国からのお客様をお迎えするのは今回が初めてです。お二人とは今後も情報交換を密にすることを約束しました。今後、今回のインタビューなどをもとに論文を執筆されるそうです。

(写真は右から李芝英さん、李慧林さん、笹山悦子代表、支援者の岩本有加さん=高橋龍介撮影)

自主夜間中学はじめの一歩教室

日本に住む外国の人たちへ日本語支援と教育支援

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