榑松佐一さんを講師に学習会を開きました。

 愛知夜間中学を語る会などは2025年11月9日、名古屋市北区の「はじめの一歩教室」で、「外国人実習生SNS相談室」代表の榑松佐一さんを講師に、学習会「地域から考える文化と社会 あなたのすぐ側にいる“ガイコクジン”」を開いた。教室の支援者、教育関係者、学生らが参加した。

 労働力不足を背景に日本が受け入れる外国人の数は増加を続け、2024年末の在留外国人数は376万8,977人、総人口に占める割合は約3%となった。愛知県内では名古屋市中区と飛島村がそれぞれ10.9%、10.6%と人口比で1割を超えている。

 業種別にみると愛知県内では製造業で働く外国人が多い。榑松さんは、「以前は日本の工業高校の卒業生は自動車製造工場に就職していたが、近年は進学を希望するなど高卒で就職する生徒の割合が減少している」と話し、こうした傾向も外国人労働者への依存傾向を強めているという。

 一時に比較して事業所とのトラブル件数は改善されつつある。しかし業種別では建設業界の失踪者が全体の半分を占め最多という(2024年)。榑松さんによると、現場での言葉による指示が不適切なことも原因といい、「おいこら、ではなく、危ないぞ、と声かけをすること。また名前で呼びかけることなどの積み重ねが信頼関係を生む、と事業主の方にも話しています」と話した。

 調査に出かけた労働者の送り出し国について榑松さんは、「急速に経済成長しているアジア諸国で貧富の格差が拡大している。日本に働きに来る貧困家庭の若者たちはとても我慢強い印象だが、その彼らが失踪を決断するということは、相当なことだ」と話し、劣悪な環境下で働く若者がまだ少なくないのではとの懸念を示した。

 今後5年間の外国人受け入れ見込み数は、介護分野13万5,000人、建設業8万人など計83万人とされている。悪質な監理団体の排除や、1~2年で職場変更を可能にするなどの改正をする「育成就労制度」が2027年春をめどに施行される予定だ。榑松さんは「日本で働いていてつらい目にあった元実習生たちは帰国して懸命に働いていた。母国の貧困を背景に、家族のために働こうとやってくる若者たちに我々がどのように接するべきなのか。円安の影響もあり労働市場として日本の魅力が失われつつあるなか、 “ガイコクジン”ではなく、同じ人間として名前で呼びかけ、易しい日本語で話しかける姿勢が必要なのではないか」と話した。

自主夜間中学はじめの一歩教室

日本に住む外国の人たちへ日本語支援と教育支援

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